【前編】櫻井彩子の軌跡と未来への歩み💎 “宝石の選び方の自由”という価値観を広げてきた背景

【前編】櫻井彩子の軌跡と未来への歩み💎 “宝石の選び方の自由”という価値観を広げてきた背景

宝石商として歩み始めて7年。著書の発売から3年。

櫻井彩子は、ハイブランド中心だったジュエリーの世界に対して、SNSを通じて“宝石商から買う”という新しい価値観を提案してきました。

その提案は少しずつ広がりを見せ、今ではひとつの選択肢として受け入れられつつあります。

そして今、櫻井彩子は次のフェーズへ。

前編では、これまでの歩みとともに、キャッチフレーズに込めてきた想いや、その変化について伺いました。

 

“良いものを届けたい”という想いだけで始まった、宝石商としてのストーリー

 

 

Q:宝石商として活動を始めた当時と今では、どんな変化があったと思いますか。

 

独立した当初は、宝石商はごく一部の限定されたお客様とお取り引きをするのが当たり前で、「宝石商からジュエリーを買う」という発想自体が、まだ一般的ではありませんでした。

私は駆け出しの頃から、「宝石そのものの輝きや美しさを知っていただきたい」「もっと多くの方に素敵なジュエリーをお届けしたい」という想いで、宝石商を続けてきました。

櫻井彩子を知っていただく機会も増え、ジュエリーを“誰から買うか”という視点で選んでくださる方が増えた今、次の段階へと進むタイミングに来ているのかな、と感じています。


「宝石にブランド料は要りません」 この言葉が伝えたかったこと

 

 

Q:本のタイトルにもなったこのキャッチフレーズは、どういう経緯で生まれたのですか。

 

幼い頃から宝石に触れてきた中で、「本当に良いものは、ハイブランドだけにあるわけではない」という感覚を持っていました。

著書を出版する際は、どんな想いを伝えたいのか編集部の方々と相談して、「宝石にブランド料は要りません」が生まれました。

今振り返ると、少し尖った言葉だったと思います。

けれど、優等生な表現ではなく、あえて強い言葉を選んだからこそ、多くの方に届いたのかもしれません。

あの頃の若さや情熱も含めて、当時の私らしい言葉だったと思っています。

 

 

Q:そのメインのキャッチフレーズが変わったと思うのですが、心境の変化があったのでしょうか?

 

「宝石にブランド料は要りません」という言葉がひとり歩きして、本来の意図とは違う形で受け取られたり、流用される場面を目にして違和感を感じたのがきっかけです。

私はハイブランドを否定したいわけではなく、その歴史や背景、積み重ねてきた価値には深い敬意を持っています。

服が大好きなので、Miu MiuやChristian Diorも着ますし、ZARAやユニクロも買っています。

何かを選ぶときの基準は、価格ではなく、「自分が本当に可愛いと思うか、好きだと感じるか」だと思っていて、ハイブランドから買うことも、宝石商から選ぶことも、どちらが正しいということではなく、その人の感性で選ぶことの素晴らしさと、選び方の自由を伝えたかったんです。

 

だからこそ今、キャッチフレーズも「宝石選びの自由が広がる時代へ」という、本質的な言葉にしたいと思うようになりました。

宝石の楽しみ方はひとつではありません。

ブランドが放つ世界観も、宝石商が届ける作品も、どちらもかけがえのない価値があります。

大切なのは、自分の感性で選び、自分らしく楽しむこと。

その自由を広げていくことこそが、櫻井彩子のフィロソフィーです。

 

受け継いだものを大切にしながら、今の時代に合う形へ

 

 

Q:これまでを経て、今どのような変化を感じ、どんなことを大切にしていますか。

 

宝石商として働く母の姿勢を尊敬していますし、受け継いだ信頼やご縁は、私にとって大きな土台となっています。

そのうえで、今の時代のお客様にとって私らしい届け方は何か、を考えるようになりました。

従来の宝石商は、フルオーダーを承ることもありますが、既存のデザインの中からご提案し、お客様にお選びいただくスタイルが主流です。

もちろん、セレクトやお見立てには審美眼が必要ですが、ものがあふれるこの時代のお客様には、ほかでは見たことがない、心が動くようなデザインや、思わず手に取りたくなる伝え方、も必要なのではないかと感じていました。

そうした考えから、宝石商としての確かな目と、デザインや世界観、SNSでの発信など、今の時代に求められる要素を掛け合わせることで、より多くの方に届く形を目指しています。

 

Q:その考えを、どのようにジュエリーづくりの形にしていったのでしょうか。

 

そこで、自分がお客様だったらどんなジュエリーに惹かれるかを考え、今のファッションに合う繊細さや華やかさ、そして一目で心が動くようなデザインを大切にしました。

また、メレダイヤをふんだんにあしらい、中石にしっかりとした存在感のあるジュエリーを、手の届く価格でご提案できたら、一目見ただけで印象に残るのではないかと考えました。

 

 

価値観を提案し続けてきたこれまでの歩みの中で、“選び方の自由”という考え方は、少しずつ広がりを見せてきました。

では、その想いはどのように形となり、現在のジュエリーづくりへとつながっていったのでしょうか。

後編では、「“わがまま”から生まれた、櫻井彩子のオリジナルデザインの秘密」オリジナルデザインの誕生やものづくりの裏側、そしてこれからの展望についてお届けします。

 

後半はゴールデンウィーク明けに公開いたしますので、お楽しみに!