指輪とネイルの装い方
ジュエリーが絵画だとしたら、指先は額縁。そんな価値観で、ネイルを大切にしています。
今回のコラムでは秋冬のネイルを軸に、指輪の装い方をシーン別にご提案させていただきます。
美しいネイルは、指輪の輪郭を際立たせる
ネイルを更新するとき、私なりの決まったオーダーがあります。
それは……
“くすませたピンクをベースとした、
ベーシックカラー”
幼少期から宝石に触れ、どんな手元がいちばん宝石が輝くか考えたとき、肌の色がぱっと白く健やかに見えると、不思議と宝石の輪郭が鮮明に映っていることに気がつきました。
そこで選ぶようになったのが、ピンク。私の手肌を健やかに美しく見せてくれます。決してピンクをおすすめするというわけではなく、肌の色味にはイエローベース、ブルーベースなどその人らしい色がありますので、肌が美しく見えるマイカラーを指先に取り入れてみてほしいです。
そしてもうひとつ大切にしているのが、色をくすませること。ヨーロッパの絵画に感じるシャビーシックな色彩は、宝石の輝きに深みを与え、手元の完成度を高めるから。忘れてならないのが、主役はあくまで宝石。邪魔をしないベーシックカラーでまとめています。
さて、この秋冬のネイルは、少しミルキーなピンクが気分。冬の街並みに映える白は、想像するだけで美しいですよね。ミルキーなピンクのネイルを軸に、お出かけ先の手元のコーディネートを楽しみましょう。
Scene1
母とフランス料理を食べにいくときは、高貴なブルーサファイヤ。
Scene2
友人と向かう映画館は、都会の喧騒に映えるゴールドを。
たとえば仕事帰りに友人と待ち合わせて、六本木の映画館へ行く華やかな金曜日。浮き立つ気持ちを指輪に託してイエローベリルの輝きでまとめました。地金はバッグのゴールド金具に合わせてゴールド。バッグは黒で引き締めることで都会的な印象に変えてくれます。
Scene3
自分のための時間は、誰かに褒められるパールの輝き。
コスメを新調しに行くときは、新しい自分に出会いたいなど、自分を磨くご褒美時間。前向きな気持ちを後押ししてもらうように、たとえば美容部員さんに「素敵なジュエリーですね」と褒めてもらえる手元でいられたら、より楽しいはず。
パールをあえてカジュアルにつけると素敵です。色は一切使わずにプラチナとダイヤモンドの輝きだけでコーディネート。手元しか映っていませんが、ざっくりニットにデニム合わせの姿を想像しても“素敵な人”が見えてきます。
Scene4
銀座のデートは、思いっきり甘いピンクを飾る。
指輪を思いっきり甘く飾りたいときには、ピンクサファイヤに柔らかさの出るピンクゴールドの組み合わせが可憐で素敵だと思います。気をつけているのが、ひとつでも赤みの強いピンクを合わせてしまうと強い印象に傾いてしまうので、ホワイトベースのワンピースやバッグでさらに柔らかく仕上げること。
銀座の街でのデートシーンにもぴったりの甘さだと思います。
指輪の美しい挿し方
最後に、ご紹介した指輪だけでなくお手持ちのジュエリーでも真似できるコーディネート法をご紹介します。
指輪・ルルベのような象徴的なデザインのあるトップを“顔”と呼んでいます。顔のある指輪は同じ手につけないようにしています。間にフルエタニティーの指輪など華奢な指輪を挟んであげると、相手の視線に自分の手元が映った時、右手から左手に流れるような心地よいリズムが生まれるので、『顔、華奢なリング、顔』のバランスで花を生けるように挿してみてください。
また、利き手はよく使う動くので2つ、もう片方を3つに飾ってあげると仕草の邪魔をせず、見た目のバランスもよく、宝石が楽しめると思います。
撮影/MANAMI 取材・文/高橋夏果 ディレクション/櫻井彩子