櫻井彩子の価値観VOL.2―日常に美を添える“クワイエット・ジュエリー”
常日頃、宝石は大ぶりなものを、とご提案していますが、ご職業や母業などライフステージによっては挑戦できない方もいらっしゃると思います。
そこでご提案したいのが、大ぶりでなくてもジュエリーとしての品格を失わない
“クワイエット・ジュエリー”(オリジナルの造語です)。
水辺に咲く睡蓮の花のように、華美ではない美しさなのに、きちんと意志が感じられる。
静かに輝くジュエリーを、私はクワイエット・ジュエリーと密かに呼んでいました。
近頃ファッションでも、クワイエット・ラグジュアリーが注目されているように、
ジュエリーにも同じことが言えると思うのです。
今回のコラムでは、クワイエット・ジュエリーに当てはまる、5つのジュエリーを選んでみました。
1.一粒パールに代わる、コンサバティブなピアス
“一粒パールに代わる、コンサバティブなピアスが欲しい”そんな声を拾い上げて生まれたのが、このデザイン。
パールは、カジュアルにもオケージョンにも使える、持っていて間違いのないタイムレスな宝石。そのタイムレスな使い勝手の良さをダイヤモンドで表現いたしました。
まず、耳たぶにコロンと寄り添うよう、丸みを帯びて見えるようにダイヤモンドをセッティング。サイドにもパヴェを散りばめることで、どの角度から見ても優しい輝きを感じられるディテールとなっております。
サイズは、パールの9mmと同じくらい。パールの中でも一番使いやすいサイジングをオマージュしました。
2.デコルテに磨きをかけてくれる、パヴェネックレス
“一粒パールに代わる、コンサバティブなピアス”を、首元にもリフレイン。
アジャスターで長さが調節できるため、鎖骨の間に転がしてデコルテの美しさを引き立たせるも良し、長めに調節して胸元の空いたドレスから覗かせるなど、少し大胆に身につけるのも素敵です。
なんといっても、ピアスとネックレスで揃えても華美な印象にはならず、クワイエット・ジュエリーを体現できます。
3.商談、カジュアル…シーンレスな一粒ダイヤモンド
キャップと合わせてカジュアルダウンさせてみたり、商談の時はスーツに合わせたり、コーディネートを選ばない無駄を削ぎ落としたシンプルなデザイン。
宝石がまだつけ慣れていない方や、職業上身につけられない方はもちろん、他のピアスとレイヤードしたい方にも最適です。
こだわったのは、0.3ctという大きさ。大ぶりではないけれど、一粒としての輝きに意思が出てくるサイズが0.3ct〜。シンプルだからこそ、ダイヤモンド独特の輝きや照りを失わないサイジングは、身につけた人をワンランク上に引き上げてくれます。
4.品を薫らせる、一粒ダイヤモンドのネックレス
一粒ダイヤモンドのネックレスは、スキンジュエリーとジュエリーの良いとこどりをしたような“さり気ない品”が魅力。おしゃれとして身につけるというよりも、パフュームを纏うように、品を薫らせる感覚で身につけるネックレスです。
大ぶりのものとレイヤードしてもいいですし、デコルテにさり気なく添えるだけで肌が美しく見える。こちらも0.3ctとダイヤモンドの輝きを感じられるサイジングでお作りしています。
5.ベストバランサーなリング・スクレ
フランス語で“秘密”を意味するスクレ。人差し指に合うようデザインしています。唇の前で人差し指を添えて「しーっ」と秘密を現すジェスチャーと、人差し指専用のデザインをリンクさせて、顧客様が名付けてくださいました。
実際、薬指に主役級のジュエリーを身につけた時、スクレを人差し指につけることで手元のバランスが整います。
たとえば、結婚指輪や婚約指輪と共に、人差し指にスクレをつける。薬指と人差し指にリズムが生まれ、薬指だけだとコンサバティブな印象の手元がグッと洗練されて見えます。
実は、スクレのダイヤモンドは相手の目に触れる場所ギリギリを計算して配置しているため、おおよその仕草ではフルエタニティに見えます。
内側にはダイヤモンドがないため扱いやすく、お子様がいらっしゃったりジュエリーに心地良さも求める方にとって、手に入れたいリングに仕上がっていると思います。
さいごに…
宝石は、身につける場所がないから諦めるのではなくて、身につける場所は自分で見つけるものと著書でもお伝えしています。
自分の立場やライフスタイル上、その場所を見つけることが難しければ、クワイエット・ジュエリーという価値観から宝石を選び、つけ慣れてみてはいかがでしょうか。
いつもの通り道、いつものお洋服、きっとその日常の景色が違って見えるはずです。
取材・文/高橋夏果 監修/櫻井彩子